いくつかの状況において、あなたは健全な自己主張は、強い抵抗に直面するかもしれません。

他の人は、攻撃的に、不合理に、極めて感情的な仕方で行動したり、あなたの意見を聞くのを拒否するかも知れません。

これらの状況において、あなたは自己防御の技術を使う必要があるかもしれません。

それは、相互に満足な方法で状況を解決できないことが多いので理想的とまでは言えませんが、あなたの健全な自己主張的な行動が報いられない、とても不満な状況をあなたが処理するのを助けることができます。

まず最初は自己主張的に応答することが大切です。

他者から理性的でない反応のために、これがうまくいかないと思われた時にだけ、あなたはこれらの「自己防御の技術」を使うべきです。

自己防御1:壊れたレコード

相手にあなたの反応を受け入れる用意がなかったり、あなたの意見を考慮する用意さえないのが明らかなとき、そのときこそ説明を諦めて質問に答えるのを止め、それ以上理由を話したり説明することなく、単純にあなたの答えを何度も何度も繰り返します。

例えば、押しの強いセールスマンに対して説明せずに何度も何度も要らないと言う、あるいは友達からの不適当な要求を何度も何度も拒絶することです。

状況をエスカレートさせないように、冷静を保ちあなた自身攻撃的にならないことが大事です。

この技術で人々が犯しがちな最も共通した失敗は、同じ応答を持続せずに、さらなる説明をしたり、相手の質問に答えてしまうように引き込まれることです。

自己防御2:選択的無視

この技術を用いて、あなたは他者のあなたへのコミュニケーションでの不適切な側面に対して応答しない、という選択をします。

しばしばこれによって相手はそれを諦めるでしょう。

例えば、あなたは相手を助けようと努力してそれについて何度も議論してきたにも関わらず、相手は過去の出来事について不平を言い続け、決して助言を聞いたりそれを乗り越えようとしているようには思われない、としましょう。

あなたが他の話題には応じ続ける一方で、相手の不平には対応しなければ、ついに相手はそれを乗り越えようととしているようには思われない、としましょう。

あなたが他の話題には応じ続ける一方で、相手の不平には対応しなければ、ついに相手はそれを話題に持ち出す甲斐がなくなるでしょう。

最後通告として次のように言うのもいいかもしれません。

「あなたがまだそれについて腹を立てているのは知っています。

しかしあなたもご存知のとおり、私はそれを繰り返し続けることが役に立つとは全く思えません。

だからもしあなたがこれを再び持ち出すならば、私は無視するつもりです。

私はもっと他の事についてあなたとお話ししたいのです」選択的無視は、他者が何か過去の事柄(そのときあなたが批判を受けるに値すると思っても思わなくても)についてあなたを繰り返し批判していると感じる場合もまた、助けになる技術となり得ます。

あなたは次のようなことをいうかもしれません。

すなわち、「私はあなたの意見を聞いてきました。そして私たちは過去にこの問題を何度も議論しました。

あなたは私があなたの考えに同意していないのを知っています。

私はこれ以上それについて話したくないし、今後それについて応答しないつもりです。

もし、あなたが再びそれを持ち出すなら、私は無視するつもりです。

これは、私が他の問題についてもあなたと話したくないという意味ではありません」と。

そして断固無視すること!

もちろん、特にあなたが批判を不当だと思っている場合、その批判を無視するのはしばしば困難です。

しかし、あなたがここまでしても彼らの相手を変えることができなかった以上は、将来もおそらく決して変えることはできないでしょう。

自己防衛3:怒りの緩和

あなたに対して誰かが不適切に攻撃的であれば、その怒りが静まるまで会話を中断することにより、その人の怒りを緩和することがときには可能です。

例えば、「私はあなたがこのことで腹を立てていることが分かりますので、そのことについてあなたと話をしたいのですが、あなたが怒っている間はできないと思いましょう。

私たちが2人とも落ち着いて議論する準備ができてから話をしましょう」と言うことができます。

相手が落ち着いたときには、相手の関心事に耳を傾け話し合うようにしましょう。

もし、あなたたちがお互いに口論し、お互いに怒っているなら、怒っていることを責めたてあうのではなく、「タイムアウト」つまり落ち着くための時間をお互いにとることを提案することがより適切かもしれません。「ほら、私たちはお互いにかなり興奮してきています。

今は少し時間をおいて、もっと落ち着いたら後で話しましょう。」

自己防御4:問題点の整理

しばしば我々はいくつかの問題を混同します。

例えば、あなたの身近の人が「もしあなたが本当に私のことを心配してくれるのであれば、あのお金を私に貸してくれるはずだ」と言うかもしれません。

こういう言い方はあなたを惑わし、自己主張的に返答することが困難になります。

ここでは問題点を整理することが重要です。

例えば、「私はあなたのことを心配していないのではありません。

ただお金を貸したくないだけです」最大限の効果を得るためには、壊れたレコードの技術とこの技術を組み合わせる必要があるかもしれません。

自己防御5:罪悪感への対処

自己主張的に振舞うよりも、他人に自責の念を抱かせることにより自分自身の要求を通そうとする人もいます。

例えば、友人や親戚が、「私はあなたの子ども達の送り迎えをしてあげました。

だから、あなたは私の引っ越しの手伝いをする恩義があります」と言って頼んでくるかもしれません。

このことは自己主張権利章典にかなっているでしょうか?

問題点を整理することがここでは重要となってきます。

例えば、「先日子ども達を迎えに行っていただいたことに感謝しています。

土曜日はあなたの引っ越しのお手伝いができなくて申し訳ありません」

もし我々自身が自分の行動に対して非現実的な期待(常に正しいことをし、誰に対しても取り乱すことなく、全ての人を満足させ、完全であること)を持っていると、筋の通らない罪悪感をいだきがちになります。

もし自分に非があると思ったときには、まずあなたが最初にすることは、なぜ非があると感じるのか、あなたがするべきであったと心の中で思うことのうち行わなかったものは何かということを自問することです。

自己防御6:謝罪

謝ったほうがよい状況もあります。

我々はみな失敗をします。

例えば、自分ですると言ったことをし忘れることもあるでしょう。

自分から手伝うと言っておきながら忘れた場合、相手はそのことについて不満を言うだけでなく、あなたのすべてについて批判してくることもあるでしょう。

その人に迷惑をかけたこと、そして自分の物忘れのために苛立ったり少し腹を立てたりする権利があることはわかるけれども、それについて謝罪する際に、相手があなたについて言っているその他のことすべてを受け入れるわけではないことははっきりとさせておきましょう(問題点の整理)。

相手がもっと自己主張的な反応をするのならば、あなたの物忘れについてどんな気持ちがしたか、また状況に善処するためにあなたに何をして欲しいかを言ってくれるはずです。

「ごめんなさい」という言葉は、しばしば濫用されます。

純粋な意味で言われていないことがしばしばあります。

ごめんなさいといつも言う人は、必要のないときに罪を感じています。

そういう人は自分自身の意見や生活に対する自分の権利を認識していません。

もしあなたが謝罪するに十分な理由があると純粋に感じない場合には、「ごめんなさい」と言わないほうがよいでしょう。

自己防御7:「あとでお知らせします」

社会不安障害におけるその他の受身的な振る舞い方の背景にあるさまざまな理由のために、社会不安障害の患者さんはしばしば「いいえ」と言うことができない、と感じます。

援助の要求に対する彼らの最初の返答は、いつも「はい」です。

そのため、しばしば抱え込みすぎて自分自身の時間がなくなってしまいます。

そのような援助が報いられなければ、憤りを感じるようにもなり得ます。

多くの人は、罪を感じたり理由や言い訳を言うことなしに「いいえ」と言うことができません。

または、すぐに「はい」と返答してしまうために自分で考える機会がありません。

この自己防御の技術は、そのことについて考える時間、つまり自分の権利と希望をじっくり考え選ぶ時間、またそう望むならどのように「いいえ」と言うかを考える時間をどうすれば持てるか、ということに関するものです。

最初は簡単ではありませんが、「予定を確認する必要があります」とか「じっくり考える必要があります」とか「明日お答えします」(忘れないように)と言えるように訓練しなければなりません。

※参考文献:不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖 患者さん向けマニュアル