呼吸速度の上昇、つまり過呼吸という「逃げるか戦うか」反応のひとつの側面に注目しましょう。

身体のエネルギー反応を上手にコントロールするには、酸素と二酸化炭素との間で一定のバランスを維持しなくてはなりません。

このバランスは適切な速度と深さで呼吸することによって維持されます。

「逃げるか戦うか」反応は、逃走の準備として呼吸速度の増加を引き起こします。

この反応が社交場面が原因で引き起こされた場合、少なくとも字義通りの意味で「走って逃げる」ことはないでしょう。

酸素取り込みの増大に対応するほどの二酸化炭素生産の増大は起こらないので不均衡が生じます。

過呼吸とは、身体が必要とする以上の呼吸の速さと深さの呼吸として定義されます。結果として生じる不均衡は、多くの身体症状を起こし得ます。

つまり、

・めまい
・頭のふらつき
・混乱
・息切れ
・目のかすみ
・非現実感
・四肢の痺れとひりひり感
・冷たくじとじとした手
・筋の硬直(胸の筋肉を含むが、それは胸痛や胸部圧迫感となることがある)

過呼吸はまた、不安感を高まらせ、そのために客観的に考えることをだんだんと難しくしていきます。

それはまた、一部の人が訴える持続性の不安と緊迫感の体験の一要因となっているかもしれません。

めまいがしたり頭がふらつくといった過呼吸による症状がでるまで意識的に過呼吸をすることにより、呼吸速度の増加があなたの感じ方にどのような影響を与えるか、自分で実際に経験してみることができます。

呼吸速度を元に戻すと症状はすぐに収まります。

※参考文献:不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖 患者さん向けマニュアル