社会不安障害のその他の評価方法

社交不安の強さを見るもう一つのスケールが、デューク大学精神科のデビッドソン教授が開発した簡易社会恐怖尺度です。

デビッドソン教授はアメリカにおける不安障害の臨床的な研究をリードしてきた学者の一人です。
このスケールは十一の質問項目から構成されています。
項目は恐怖に関するもの、回避行動に関するもの、それに先ほどのリーボビッツ教授の作ったスケールには含まれていない身体の症状が含まれています。

症状の強さは5段階で評価します。
得点の範囲は0点から72点までになり、20点以上の得点が付いた場合には社交不安が強く社会不安障害が疑われます。
このスケールは使い方が簡単で時間もかからず、恐怖や回避だけでなく社交状況で生じる不安による身体の症状の評価も含まれているのが利点です。
その反面カバーしている項目が少なく状況が限られているため、治療の効果の判定などにはリーボビッツ教授のスケールのほうが適しており、実際よく用いられています。
この他にもいくつかの社交不安の強さをみるスケールがありますが、この二つが実際に用いられている代表的なものです。
どれも使い方は簡単でそれほど時間もかかりません。
この二つを見ても項目数やカバーしている症状や想定状況に違いはありますが、共通点も多く二つのスケールの得点には高い相関があります。
著者の医師自身は診療場面でこうしたスケールや質問票などを使うのはあまり好みませんが、社会不安障害に関しては治療にプラスになる面も多く必ず用いています。
すなわち社会不安障害という病気の全体像を患者本人に正しく理解してもらう心理教育に有益なのです。
また治療の効果を確認する上でも役に立ちます。

※参考文献:社会不安障害 田島治著