社会不安障害の発症と恐怖条件付け

社交場面における病的な不安や恐怖が生じる背景には、今まで述べた遺伝的な素因や心理的な歪みだけでなく、何らかの脳の働きの異常と恐怖の条件付けが関係しています。
社会不安障害の方のかなりが、中学一年生や二年生の英語や国語、音楽などの時間に先生から指され、いつになく緊張したことをきっかけに症状が始まったと言います。
これを例に古典的な条件付けのモデルで社会不安障害を考えてみましょう。

教室で話をするというのが条件付け刺激と言います。
話をしてきるときにみなに笑われたり馬鹿にされたりという体験が非条件付け刺激になります。
連想学習によって条件付けされると、その後はそうした場面になっただけで条件付けされた反応、すなわち恐怖や不安が出てしまいます。

これまでの研究では社会不安障害の人の半数近くがこうした体験がきっかけとなって条件付けが起こっていると指摘されています。
これに対応する研究結果もありますし、実際に徐々にそうなったのであり、特にはっきりとしたきっかけになるような出来事もなかったという方もかなりいますが、社会不安障害の発症に何らかの条件付けが関係していることは否定できません。

※参考文献:社会不安障害 田島治著