ここで社会不安障害で悩んでいる人のケースを紹介します。

Aさんは、小さい頃から、恥ずかしがり屋で、人前で話す時は下を向いてしまいがちでした。

小学校5年生の時に理科の自由研究の発表をしたときに、緊張のあまり、頭が真っ白になって言葉が出てこなくなるという一層、人前で話すのが嫌いになってしまいました。

中学生の時まではそれでもなんとか学校生活を送ってきましたが、高校生になってから授業でスピーチを行うことが課されるようになると事情は変わってきました。

中学生の時まではそれでもなんとか学校生活を送ってきましたが、高校生になってから授業でスピーチを行うことが課されるようになると事情は変わってきました。

この課題では、話し方も評価されます。

うつむいてスピーチをしていると、教師に「大声で、はっきりと」と言われてしまうのです。

Aさんは課題をまっとうしようと事前に何度も練習し、授業に臨みましたが、自分の番になると緊張し声が震えてしまいました。

Aさんはこのことがたいへんショックでした。

スピーチが終わった後も、何度もこのことを思い出し、「自分は無様だった」「恥をかいた」と悩み、夜眠れないこともあるほどでした。

そして、これ以降スピーチの授業のときには毎回声が震えてしまうようになり、また、自分のスピーチがある日が近づいてくると、緊張から気分が悪くなるようになりました。

声の震え以外にも不安症状は強くなり、顔も赤くなり、原稿をもつ手も震えてしまうようになりました。

自分のスピーチを聞いている他の生徒が、あきれて笑っているに違いないと思うと、みんなの顔も見られません。

他の人はうまくやっているのに、なぜ自分だけスピーチが下手なのだろうと、とても悩みました。

こうしたことが続いて、スピーチ以外でも授業中にちょっとした発言をするだけでも、ひどく緊張するようになってしまい、学校に行くことがひどく憂鬱になっています。

※参考文献:自分で治す「社交不安症」 清水栄司著