社会不安障害の原因について、確実なことはまだ不明です。
社会不安障害の発症に関係するもっとも重要な要因は、不安一般に対する遺伝的脆弱性だと思われます。
この脆弱性はおそらく主に、神経系の感受性と反応性が高いことによって生じます。
どのようなタイプの外的な出来事に直面しても強く反応し、しばしば不安と神経過敏を伴うような人がいる、ということです。
こういう人は不安障害になる危険が高いと思われます。
近い近親者が社会不安障害である場合にも、この疾患のリスクは高くなります。
社会不安障害が、ある単一の出来事の後に発症するという事は稀です。
ただし、「限局性」の社会不安障害(不安を引き起こすのがひとつだけ、あるいは少数の状況に限られている場合)では、全般性に比べればそういうことが多いです。
家族環境の在り方は、それ自体としては、多くの場合、社会不安障害を引き起こした重要な要因であるとは思われません。
しかしながら、家族環境のさまざまな側面がもともとの感受性の高さ、ないし内気さに影響を与えて、自信を強めて社会適応をより容易にする方向に働いたり、あるいは逆に心配や懸念を強める方向に働いたりするということはあり得ます。
※参考文献:不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖 患者さん向けマニュアル