1週間前後の予定をたてるために、日記を利用しましょう。

たとえ気分がすぐれない日があっても、常に何かをせねばなりません。

そういう日はすでに修得したステップを繰り返すだけでよいのです。

恐怖を克服できるようになるまで、頻繁に、そして定期的に課題に組み込んだ状況に直面するようにしましょう。

最初は、多くの恐れている状況に、頻回(週に3~4回)直面する必要があります。

さもないと、次にその課題を行うまでの間に恐怖レベルが再度上昇してしまうでしょう。

一般的なルールは、恐怖が大きければ大きいほど、より頻回にその状況に直面する必要がある、ということです。

SUDが30以下で一定するようになる(つまり、続けて数回)まで、各々のステップを何回も繰り返しましょう。

日記の例を以下に示します。

日記の例
この人は他人の注目を浴びること、他人とはなすことがこわい。

 

月日 課題 SUD コメント
予想 実際
3月19日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 40 50 思っていたよりも混んでいた。下を向き続けて、雑誌に集中しようと試みた
3月20日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 50 食堂に入るのが極めて困難だった。
誰も実際には自分に注目することはないと思うようにした。
3月21日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 40 今日はやや気が楽だった。
3月22日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 35 実際には誰も自分に注目することはない。
3月23日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 30 おそらく金曜日だから食堂の客数が少ないのだろう。明日、明後日とこの課題は休みだ!
3月24日 サリーと共に、午前中に映画を見に行く。出口のそばに座る 40 30 思っていたよりも楽だった。映画館はすごく静かだった。サリーは本当に協力的だ。実際映画も楽しかった!もっと映画を観に行くようにしよう。
3月25日 バスを利用して近くの店へ行く。
店員がついてくれる靴屋で、4足の靴を試着する。
40
60
40
80→50
週末なのでそんなに混んではいない。店が混んでいたのでできないんじゃないかと思った。
店員に申し訳なく感じた。
でも、数人の客が店を出て行き、しかも店員はとても気さくだった。
3月26日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 50 先週と同じくらい辛かった。ひどくがっかりした。
認知再構成をした。
休んだ後には同じ課題でも再びつらく感じるようになるものだ。
しかも食堂が混んでいた。
誰も気にしやしないと思うようにした
3月27日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 30 今日はかなり落ち着いてできた。
3月28日 昼休みの終わりがけに、職員食堂でコーヒーを飲み、雑誌を読みながら座っている(10分間) 50 30 たいした問題はなかった。
次のステップに挑戦しよう。
3月29日 職員食堂で遅めの昼食をとる。トリッシュがいれば一緒に座り、そうでなければ雑誌片手に座る(30分間) 60 40 前のステップに比べて、実際、さほどつらくはなかった。トリッシュは食堂にはいなかったので雑誌を読んだ。確認のためにさらに何回かこの課題をやってみよう。
3月30日 職員食堂で遅めの昼食をとる。トリッシュがいれば一緒に座り、そうでなければ雑誌片手に座る(30分間) 60 35 さらに自信が持てた。何回か目を上げてみたが、誰も自分のことを見てはいなかった。

もはや恐怖を感じなくなった状況であっても、定期的にその状況に直面するようにしましょう。

こうすることにより、その状況を自分がコントロールできていることを確認できます。

各ステップの実行

外出する前に、標準的なリラクゼーション技法および呼吸コントロール技法を実行しましょう。

予定している課題について、現実的なこと、そして役に立つことを考えましょう。

出来る限り落ち着きましょう。

しかしながら、課題をこなすには完全に落ち着いている必要はありません。

状況に直面している最中には、不安コントロール技法を実行しましょう。

自分がどのように感じているか、どのように見えているか、他者が自分のことをどのように思っているかではなく、そのときに実行している課題そのものに集中しましょう。

自分自身の努力を認め、課題を達成したときに自分なりのご褒美を考えておきましょう。

うまくいったときには自分自身を祝福し、思ったとおりにいかなかったときには自分自身を元気づける―つまり、自分が自分にとって良い友人である―ようになりましょう。

※参考文献:不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖 患者さん向けマニュアル