場合によっては、現実の生活における段階的暴露課題では、ゴールへの到達が難しいかもしれません。

このような場合には、いくつかの段階を想像上で実践することもできます。

このタイプの脱感作は、現実の生活における暴露よりも効果が乏しいものの、例えば全か無かといった性質のものであるとか一度きりの行為といったものにおいては、中間的に暴露課題を追加する方法となります。

想像上の脱感作は、現実の生活においては実践ができないような状況に限定するべきでしょう。

想像上の脱感作は、恐れている状況への現実の生活における暴露と組み合わせて用いるべきです。

想像上の脱感作のみでは社会不安障害を治癒させることはないでしょう。


想像上の脱感作の実践には、以下の方法を用いることができます。

●脱感作したい状況を詳細にかつ具体的に決める

●この活動を実行する上で、必要となる全ての過程を列挙しよう
あるいは難易度が徐々に高まるように、いくつかのレベルの活動を工夫しよう

●これらの詳細を1枚、あるいは複数のカードに記入し、これを使って想像上の暴露課題を組み立てよう

●難易度、あるいは誘発される不安の程度によって、暴露課題の順位をつけよう

●リラクゼーションの後、それぞれの場面を想像しよう。
緊張や恐怖を感じたときは、場面の想像をしないこと。
中断し、リラックスしよう


例えば、あなたが就職面接のリハーサルをしたいものと仮定しましょう。

これは通常の恐怖ですが、社会不安障害の患者さんでは、そのことで頭がいっぱいになるため、面接の時間がくる頃にはくたくたになっており、それゆえに何か間抜けなことを言ったりあるいはしでかすのではないか、または悪い判断を下されるのではないかと一層恐れるかもしれません。

もちろん、あなたは現実の生活において面接場面に含まれる1つ2つの要素を実践してみて構いません。

例えば、友人に面接官になってもらうとか、面接前日に会場の建物を実際に訪れてみるといったように。

しかしながら、その状況の練習を難しくする別の要素があるかもしれません。

以下に記した内容を通じて、想像上の暴露を進めることができるでしょう。

●受付に到着し、名前を述べる

●静かな部屋で、面接の順番待ちの席に座っている

●他に3人の受験者がいます。
部屋で、順番待ちの席に座っている

●他の3人の受験者と約10人の事務職員のいる部屋で座っている

●名前が呼ばれたので立たなければならない

●相手が自己紹介してくる

●面接室に入る。そこにはあなたに質問する一人の面接官がいる

●面接室に入る。そこにはあなたに質問する三人の面接官がいる

などといったように。

これらの場面において、適切に振舞っている自分自身をイメージすることから始めましょう。

不安を感じたら、それがコントロールできるまで先には進まないこと。

このようなやり方で、恐怖への脱感作を行うと同時に、適切な振る舞いをリハーサルすることができます。

1度には1つの場面をイメージするにとどめましょう。
どの場面についても、ほとんど不安を感じることなくイメージすることができるようになったら、次に移りましょう。

すべての段階を習得したならば、脱感作のためにさらに課題を追加してもよいでしょう。

例えば、何か特定の不具合を恐れている場合(例として、あなたの恐怖の対象が人前で話すことである場合、準備したスピーチ原稿が演台から吹き飛ばされてしまう事)、不具合に対して、落ち着いてかつ適切に対処している自分自身をイメージしましょう。