ぶり返しが長引いたり、なかなか改善がみられない場合、その原因がどこにあるかと言うと、それはあなたがこの治療プログラムで学んだ新しい技術を実践していないことのせいであることが多い、と申し上げておきましょう!
ただ考えているだけとか、自分の不安が自然に消えなくなるといいなあと願っているだけでは、社会不安障害の症状が改善することはありません。
もし壁にぶつかったなら、このマニュアルを(最初のページから)もう1度注意深く読んで、マニュアルの指示にきちんと従うようにしてください。
まずは不安をコントロールするための基本戦略に帰ることです。
呼吸コントロールとリラクゼーション練習に毎日取り組みましょう。
認知再構成法を復習して、自分の「認知の誤り」をチェックしてみましょう。
「~すべき」という考え方に陥っていないか、自分に過大な期待をしていないか、よく気をつけてください。
自分の回避行動や安全確保行動を正直に見つめ直しましょう。
回避行動や安全確保行動を続けている限り、不安に直面することもコントロールすることも本当の意味でできるようにはなりません。
また、段階的暴露については、現実可能な目標を設定しましょう。
自分自身に対して賞賛と激励を惜しまぬように心がけることも重要です。
チェックリスト
<私の回復のために 14か条>
□不安の徴候が見られたら、すぐに呼吸コントロールを始める
□週に4回は運動する
□毎日同じ時間に起きる
□タバコ、カフェイン類、アルコールの摂取は一切断つか、最小限にする
□非合法な薬物は使用しない
□不安を引き起こすような考えと、これに対する認知再構成は、ノートに書きとめておきましょう
□「~すべき」という考えと認知の歪みを減らすように努力する
□治療の目標は実現可能な範囲に設定する
□自分自身への賞賛と激励を惜しまない
□恐怖の対象となっている状況に毎日直面すること
□段階的暴露に取り組む
□自分がしている微妙な回避行動や安全確保行動を見逃さない
□回避行動を減らす努力を続ける
□自分の恐怖に対して本当の意味で立ち向かうこと
もっと自分にやさしく
社会不安障害で苦しんでいる人のほとんどは、自己評価が非常に低いという共通点を有しています。
社会不安障害の人は、社会状況で自分の理想通りの行動ができないと、非常に強く自分を責めます。
ここで大事なことは、あなたが自分自身をいかに支え、励まし、鼓舞していけるかということです。
他の誰からでもなく、自分の内側から自分が支えられ励まされることには、非常に大きな意味があるのです。
自分の期待通りにできなかったときも自分に対して優しくなってあげてください。
例えば、自分ではなくて誰か他の人に対してはあなたはどんなふうに接していますか?
特に相手が子供だったときはどうですか?
自分のあげた成果に対してだけではなく、自分が果たした努力に対しても大いに賞賛してあげて下さい。
そして、目標に到達できたときは小さなご褒美を自分にあげるようにしましょう。
ゴールの設定はくれぐれも実現可能なレベルにすることと、小さな進歩であっても評価すべきところは評価するということを忘れないでください。
1つ1つは小さなステップに過ぎなくても、その積み重ねがあれば必ず最終目標にたどり着けるはずです。
不安をコントロールできるようになるのには時間がかかるものです。
困難も多く骨を折って頑張らねばなりませんし、それがどんなに大変なことであるかは、あなたを除いては他の誰にも分りません。
あなたが自分自身に対してやさしくできるようになれば、目標までの道のりをただ耐えているだけではなくて、もっと容易に他人の意見についての不合理な思い込みを克服できるようになるはずです。
こうしたことを踏まえた上で、それでもなお問題が解決しないようならば、あなたの治療者にそのことを相談してみて下さい。
※参考文献:不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖 患者さん向けマニュアル