社会不安障害の治療の中でぶり返しを避けようとするのは難しいことです。
ぶり返しは誰にも起こります。
ぶり返しが起こると、多くの人は「また最悪の状態に戻ってしまった」と思って、不安が高まったり落胆したりします。
回復のために一生懸命どりょくしてきた人にとっては、ぶり返しが起こるということは感情を大きく揺さぶられる出来事であり、破滅を意味するかのように思えてしまうでしょう。
しかし、ぶり返したときにどんなにひどく落ち込んでも、全く無力な最悪の状態にまで戻ってしまう人はありません。
治療の中で身に付けた対処技術まですっかり失われてしまうことはないのです。
ぶり返しは、職場や家庭、健康や金銭面などで新たなストレスにぶつかったときや、何か困難な状況に追い込まれたようなときによく起こります。
しかし多くの場合、たとえぶり返しが起こったように思えても、それは一時的なものでしかありません。
ストレスの原因が過ぎ去ってしまえば、プログラムを再開することがより容易になっているのでしょう。
ストレスの原因となっている問題の解決のために積極的に取り組めば、ぶり返しからの脱出は、ぐっと簡単になるでしょう。
そうすれば、再び自分のエネルギーを社会不安障害の克服のために集中することができるわけです。
強いストレスを感じているときでも、治療プログラムをすっかりやめてしまってはいけません。
それまでの間にプログラムの中で得られた成果はなるべく維持できるようにしましょう。
大事なのは、少し後退したからといって、それが破滅を意味するのではない、ということです。
なぜならば、その前まではずっと進歩して来られたわけですから、失敗してもまたそこからやり直せないはずはありません。
回復の過程で上がり下がりの波があるのは特別なことではなく、むしろ普通のことです。
回復過程の典型的なパターンは、次の図のように表すことができます。
ぶり返しをうまく乗り切れば、絶対に大きな自信につながりますし、将来同じような難局でつまづく可能性はずっと小さくなるでしょう。