社会不安障害の苦しさのひとつに予期不安があります。
「そのとき」が来る前に、いろいろな不安を想像してしまうのです。
予期不安によって、不安の対象は実際よりも恐ろしく感じられるものです。
予期不安に自分一人で対処するのは困難です。
不安は「感じないようにしよう」と思えば思うほど不安になるからです。
不安をありのままに受け入れるというプロセスを踏まなければ、不安を和らげることはできないのですが、「感じないようにしよう」と思うことはそれとまさに逆行することになります。
予期不安についても、ありのままに受け入れるプロセスが大切です。
そのために役に立つのは、人に話してみるということです。
その際、話す相手を選ぶ必要があります。
「そのくらいのことはふつう、気にしないものだ」と否定するような人だと、かえって不安が強まる結果になってしまうでしょう。
ですから、話しても安全な人に話すということが重要です。
「それは心配だよね。でもきっと大丈夫だと思うよ」というような姿勢で温かく対応してくれる人がよいでしょう。
「役割をめぐる不一致」を起こさないための安全策として、「自分は不安を話すことで楽になるから、ただ聞いてほしい」とはっきりと伝えておくこともよいやり方です。
そうしないと人は「問題を解決してあげなければ」と思い、「そのくらいのことはふつう、気にしないものだ」というようなアドバイスをしてくることになります。
※参考文献:対人関係療法でなおす社交不安障害 水島広子著