生まれ持った気質と社会不安障害になりやすさ
病的な不安、すなわち過度で慢性的な不安に基づく症状に悩まされるのが不安障害ですが、当然のことながら生まれ持った気質と、こうした病的な不安の起こりやすさには関連があるようです。
社会不安障害と関連する内気や行動抑制と呼ばれる特徴は幼児期からみられるもので、生まれ持った気質のひとつとも言えます。
不安というのは動物にとっては危険から身を守るためには必要な情動反応です。
それではこうした生理的な不安と、過度の人見知りや将来の社会不安障害のリスクになるとも考えられている行動抑制の類似点を見てみたいと思います。
まず第一に不安が強く行動抑制のある(「行動抑制がある」というのは新たな状況になかなか不安が強くて入れないということです)人、この場合は幼児ということになりますが、危険を感知するシステムの感度が高すぎることが考えられます。
これはほとんどの人が脅威と感じないような場面や相手に対しても、脅威を感じてしまうということです。
次に考えられるのが注意に偏りがあって、過度に脅威に対して注意が向きすぎるということです。
つまり誰もが周囲の潜在的な脅威をいつもモニタリングしているわけですが、不安や行動抑制の強い人は周囲のそれほど脅威とならないようなものをけんしゅつして反応してしまうわけです。
これは脅威を知らせる合図として普通の人が感じないようなものまで脅威と感じてしまうことです。
このために他の人よりも周囲の環境をより脅威のあるものとして感じてしまう傾向が強いわけです。
※参考文献:社会不安障害 田島治著