社会不安障害の原因

社会不安障害を発症してしまう原因ははっきりわかっていません。
遺伝と環境が複合的に影響していると考えられています。

社会不安障害につながる脳の機能異常としては、外部刺激に対して、不安や恐怖を発現する偏桃体が過剰に活性化していることがわかってきています。

また、抗うつ薬が有効であることから、脳内でセロトニンという神経伝達物質が減少している可能性が推測されています。

強い不安を感じるメカニズム

社会不安障害の人が、強い不安を感じるメカニズムは次のようなものです。

1.対人場面での失敗など、過去のネガティブな経験
不安に対しての感受性が強い、完璧主義のような性格

2.人に会うときにまた同じことが起きるだろうと悪い予想をしてしまう(自動思考)

3.不安や緊張を隠そうとする考え(自動思考)
・緊張していることを相手に悟られる
・ばかにされ、嫌われてしまう
・変な人だと思われる
・挙動不審に思われる

4.余計緊張する、不安が大きくなる(感情)

5.人と接するのを避けようとする(回避行動)

6.人と接する際の不安がさらに大きくなる(感情)

2.に戻る。悪循環

このように、社会不安障害の人は、対人場面では自動的に「悪いことが起きる」と、ネガティブな発想をしてしまい、また、「緊張している様子を他人に悟られてはいけない」「人前でうまくふるまえないのは劣った人間だ」と必要以上に自分を厳しく追い込むような考え方をして、ますます人と接することに不安を覚えるようになるという悪循環に陥っているのです。

不安を感じるようになったことに、はっきりしたきっかけ(過去のネガティブな経験)がある人が多いです。

そして、これが悪化していくと不安感から人と会うことに苦痛を感じるようになり、人を避けるようになってしまいます。

そうなると、「人と接する」という経験が積めなくなってしまいますので社交不安から抜け出すことが難しくなります。

不安を感じてしまう非合理的な思考を反証したり、人と接することに慣れる機会を持つことが悪循環を断つためには必要なのです。

これができなくなってしまうと、ますます人に接することが苦手になっていきます。

※参考文献:自分で治す「社交不安症」 清水栄司著