社会不安障害などの心の病気は、体の病気と違って、現代の医学でも、原因となる脳内の異常やそれが引き起こす心理状態を、X線写真や血液検査で調べることができません。

社会不安障害は、精神科、心療内科などの医療機関において、問診によって診断が行われます。

本人の訴えや、あらわれる不安症状などから診断します。

現在、医療機関では社会不安障害の診断基準として、DSM-5とICD-10が、重症度の診断にはLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)がよく使用されます。

初めて訪れる医療機関で初対面の医師を目の前にして、緊張してしまい、上手く話せないということも十分あるでしょう。

LSAS-Jは、自分でも簡単に行えます。

医療機関を受診する前に、社会不安障害の症状をチェックし、医療機関に持参することは、自身の気持ちの負担を減らすだけではなく、症状をより正確に伝えるためにも有効です。

DSM-5

DSM-5は、アメリカ精神医学会によって出版されている精神障害の分類と基準を提示するものです。
社会不安障害の診断基準として、多くの国で広くもちいられています。

IcD-10

WHO(世界保健機関)編の『精神および行動の障害』による診断基準です。

LSAS

社会不安障害の重症度の評価にはLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)がしばしば用いられます。

社会不安障害克服のトレーニングを行う前(現在)、トレーニング中、トレーニング後の状況を比較して改善しているか見る為にそのつどチェックしてみると良いでしょう。

そもそもお医者さんにかからない

ところで、社会不安障害患者の受診率は決して高くありません。

基本的に社会不安障害の人は、人と会うことや、コミュニケーションが苦手です。

医療機関で診てもらうことも不安を感じる対人場面の一つなのです。

社交不安だからこそ受診が難しいのです。

しかし、医療機関への予約の電話をしたり、病院まで出かけて行ったりすることがつらいとなると、日常生活にもそれなりに支障を来しているのではないでしょうか。

引きこもり状態の方もいらっしゃるでしょう。

信頼のおける人や、家族などの助けを借りて、ぜひ受診してください。

社会不安障害は単なる性格ではありません。

放っておくと、人との接触を避けようとする気持ちから、人生において対人関係を経験する機会が減ってしまい、ますます社会不安障害が悪化、長期化します。

学業や仕事、日常生活への影響も大きくなります。

また、他の精神疾患を合併してしまうリスクも高くなるのです。

症状に思い当たる場合は、まずは受診を検討しましょう。

また、家族が対人場面での不安に苦しんでいる様子に気付いたら、社会不安障害という病気があること、医療機関で治療が受けられることを話し、サポートしてあげましょう。

社会不安障害の治療法として認知行動療法に注目が集まっている

社会不安障害の治療の選択肢としては、薬物療法と認知行動療法があげられます。

薬物療法としては、「抗うつ薬」であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが処方されます。

SSRIはセロトニンの働きを良くすることで不安症状を和らげることのできる薬です。

残念ながら、SSRIが効かない場合もあります。

一方、認知行動療法という精神療法も、薬物療法と同等、あるいは、それ以上に高い有効性を持つということが証明されてきています。

※参考文献:自分で治す「社交不安症」 清水栄司著