社会不安障害の治療法としては薬物療法と精神療法のどちらもが効果的であることが示されています。

薬物療法として主に用いられるのは抗うつ剤です。

以前はモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)というタイプの抗うつ剤が有効であることが知られてましたが、より新しいタイプのセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ剤も効果的であることが示され、現在では標準的な薬として用いられています。

その他、補助的に抗不安剤やβブロッカー(交感神経の一部を抑制する薬)がもちいられることもありますが、治療効果を発揮する主体となるのは抗うつ剤です。

社会不安障害の人がうつ病も同時に抱えていることは少なくありませんが、うつ病の症状を全く自覚していない人でも抗うつ剤を効果的に用いることができます。

抗うつ剤はできるだけ充分な期間飲むことが重要で、社会不安障害の症状が「よくなった」と思ってからも一年間は服用したほうが再発を減らせると言われています。

薬物療法は効果が早いことにメリットがありますし、薬を飲める状況の人(妊娠や授乳をしていない、身体の病気などのため抗うつ剤を使えない状況にない)は試してみる価値があります。

でも、どんな治療法であれ、すべての社会不安障害の患者さんに適しているわけではありませんので、薬の効果が十分に出ない人もいます。

また、服薬を中止すると症状が再発する社会不安障害の患者さんも多いことが知られていますので、「完璧な治療法」というわけでもありません。

できれば精神療法と組み合わせて用いることが望ましいです。

※参考文献:対人関係療法でなおす社交不安障害 水島広子著