社会不安障害ではもっとも陥りやすい依存症
アルコール依存症も、社会不安障害との併発率が高い病気です。
社会不安障害になる前から、アルコール依存症であったり、両方がほぼ同時に発症することもありますが、多くみられるのは、社会不安障害に伴う不安や恐怖を、アルコールの力で、つまり酔うことで紛らわせようとするうちに、いつの間にかアルコール依存症になってしまうというケースです。
アルコール依存症は基本的に治療の難しい病気ですが、実は、社会不安障害がきっかけで発症したアルコール依存症は治りやすいという特徴があります。
というのも、社会不安障害にはSSRIという特効薬があり、SSRIで社会不安障害の不安や恐怖を取り除いてしまえば、アルコールに頼る必要がなくなるからです。
実際、社会不安障害とアルコール依存症を合併している患者さんの多くは、不安をとる抗不安薬の代わりにアルコールを利用し、依存症になってしまったといいます。
そのため、アルコールをSSRIに置き換えてあげるわけです。
アルコール依存症の人の中から社会不安障害の人を見分けるキーワードがあります。
それが、「お酒を飲むと気分が大きくなったり、はしゃいだりしないか」ということです。
もともとの素因が社会不安障害の人は、アルコールの力で不安がなくなると、緊張がとれてころっと性格が変わり、社交的になる場合がほとんどです。
本来の目立ちたがり屋な性格が出てくるわけです。
これは、アルコール依存症の人に限りません。
普段はおとなしくてどちらかといえば不安そうな人が、お酒を飲むと人が変わったように朗らかになる、といった場合のは、社会不安障害が隠れていることがあります。
逆に、泣き上戸になったり、お酒を飲むとネガティブになる人は、社会不安障害の可能性が低いといえるでしょう。
※参考文献:あがり症のあなたは<社交不安障害>という病気。でも治せます! 渡部芳徳著