社会不安障害の人は実際に行動してみよう
社会不安障害の人は苦手な場面にあえて直面する
社会不安障害の人はロールプレイによる練習を繰り返した後には、実際の行動に取り組みます。
自分が心配している場所に行って、心配している行動をしてみるのです。
このときにも社会不安障害の人は、ロールプレイのときと同様に、自分がどのような状態になり、それに対して相手がどのように反応するかを、あらかじめ予測しておき、実際に行動した後にはどういったことが起きるかを観察します。
エクスポージャは、社会不安障害の人があえて自分が苦手な場面に直面するトレーニングですので、あまり無理をせずに、小さな段階を付けて取り組んでいくことが大切です。
そのためによく用いられるのが「不安階層表」です。
不安階層表は、社会不安障害の人が不安を感じるような場面を、目安として10~15列挙し、それぞれのばめんで感じる不安の強さによって、順番を付けて並べたものです(図7)
症状:人前でなにかをしようとすると手が震える、他人から変わった人だとおもわれているのではないかとおもうと恐くなる
【図7】不安階層表
ここでの目的は、社会不安障害の人が不安を感じる場面に向き合って、不安を和らげていくことにあるので、本などから引き写したりするのではなく、できるだけ自分の実感に沿った場面を考えていくようにします。
このとき社会不安障害の人が「まったく不安を感じない」を0、「最高の不安」を100として、それぞれの場面でどれくらい強く不安を感じるか、点数をつけておきます。
これが、社会不安障害の人の今後の治療の目安になります。これをSUD(Subjective Units of Disturbance 自覚的障害単位)といいます。
社会不安障害の人はベースを決めて1ステップずつ
不安階層表ができたら、社会不安障害の人は具体的な行動の計画を立てて、実施します。
この場合、間隔を開けずに、週2回以上を目安に行うようにします。
ここでは、先を急がずに、でもあまり間を開けずに小さなステップに一つ一つ取り組んでいくことが社会不安障害の人にとって大切です。
また、いったん不安階層表をつくっても、状況によってそれを組み替えたり新しい項目を入れたりする柔軟な姿勢を忘れないようにしましょう。
社会不安障害の人はそれぞれのステップを実施する前には、その場面をなるべく具体的にイメージして、起こりそうなことをあらかじめ予測しておくといいでしょう。
参考文献:不安症を治す 大野裕著