社会不安障害の人にはできるだけふつうに接する――周囲の援助2

社会不安障害の人には「気のせいではない」と伝えてあげる

社会不安障害で不安などつらい気持ちでいる人にかかわる際のポイントを、もう少し挙げてみます。

その一つは、あまり心配しすぎず、なるべくふだんどおりに接するということです。
社会不安障害で不安などつらい気持ちを抱えている身近な人に、心配して腫れ物にさわるように接してしまうことがあります。
しかしそういった態度が、かえって本人にとって負担になることがあります。
その人の精神的なつらさを思いやりながら、日々のあいさつや会話など、できるだけいつもどおりにしていくほうが、お互いにとっていいことが多いのです。

社会不安障害の人は、自分の辛い気持ちを、気のせいだとか、自分が弱い人間だからだとか、こんな性格なんだからどうしようもない、などと思い込んでいる人もいます。
周りの誰かからそう言われていることもあります。

しかし、社会不安障害の人など不安な場面に向き合う訓練や、人付き合いの練習などを通じて適応能力を高めていくことはできますし、必要に応じて医師に相談して薬を利用するという方法もあります。
性格をすっかり変えてしまうことはできませんし、けっしていいことでもありませんが、ものの見方・考え方を少し変えて、行動面の工夫をしていくことで、できることはいくつもあります。

気のせいではない、性格のせいでもない、試してみる価値のある方法や工夫はいろいろあると社会不安障害の本人に伝え、一緒に話し合っていくのも大切です。

社会不安障害の人は医療機関の受診もひとつの選択肢

社会不安障害の人は辛い気持ちが強くなってくると、そこから早く逃れたいとあせって原因探しを始めたり、自分を責めたりしがちです。
しかしそうするよりも、いま仕事や暮らしのなかで、実際にどのようなことで困っているのかと考えていったほうが、現実的ですし役に立ちます。

社会不安障害の人は問題点を探し出して、その一つ一つについて、いま実行できる具体的な解決策を工夫してもらうようにします。
本人を置き去りにしないように、自分でできることをなるべくやってもらいながら、問題を改善するための工夫を話し合って、実際に手掛けていくことが大切です。

とてもつらいときには、医療機関に相談するように勧めてください。
また、いますでに医療機関にかかって薬を飲んでいる人には、自分の判断で薬をやめたり、分量や飲み方を変えたりしないように、また副作用の心配なども含めて、気になることは何でも遠慮なく医師に相談するようにと、アドバイスしてください。