本サイトの内容をお読みいただくことそのものが、社会不安障害の方のご家族にも役に立つと思います。

社会不安障害が病気であって、治療可能であるということを知ることは、ご家族にとっても安心できる指針になるはずです。

どうしたらよいかわからない、という状態が人間にとってはもっともつらいもので、いわゆる「家族の不適切な対応」と言われるものも、そういう心境のなかでの試行錯誤のプロセスであると言えます。

ご家族も人間ですから、対応が不適切だと言われて気持ちのよいことはないでしょう。

「家族が悪い」と言われてしまうと、ますます不適切な試行錯誤が増えてしまう可能性もあります。

ですから、本サイトをお読みいただき、病気としての社会不安障害をよく知っていただきたいと思います。

今まで「どうしてあんなふうに考えるのだろう」と患者さんについて疑問に思ってきたことの多くが、社会不安障害の症状であることをご理解いただけると思います。

ご家族にやってほしいことのなかで最も重要なことは、社会不安障害という病気をよく知るということです。

社会不安障害の主症状である不安は、正常な感情として私たちにとって身近なものなので、病気だということをはっきりさせておかないと、認識がぐらつきがちです。

一番ぐらつくのは患者さん本人ですが、それは病気の性質上仕方のないことですから、せめてご家族は一貫して「病気」という認識をもっていただきたいと思います。

たとえば、「やっぱり自分は弱いからできそうもない」とご本人が言ったら、「弱いからではなくて、病気の症状のために、できそうもないと思ってしまうのね。厄介な病気ね」と返してあげるとよいと思います。

ご本人が何らかの成功体験をしたら、「病気の症状があるのに、新しいパターンを成功させられたなんて、本当にがんばったのね」とほめてあげてください。

それは事実なのです。

※参考文献:対人関係療法でなおす社交不安障害 水島広子著